『浄霊医術』

「アメリカを救う」昭和28(1953)年1月1日発行

これから米国における現在の病気状況の調査表と併せて、私が創成した治療法(浄霊法)によって全快した人達の感謝報告を載せるが〔略〕、これは全部本人手記のものであるから一点の間違はないので、万一疑のある人は、宿所姓名を詳しくかいてあるから、本人にブツかって訊けば何よりである。しかし専門家も一般人もこれを見たら、現代医学に比べて余りに卓越せる治病力に到底信じられないであろう。しかも施術の方法は患者から数尺離れて、空間に手を翳(かざ)すだけで、時間は十分ないし三十分くらいの短時間で終り、何らの器具も費用も要らないで、一人で一日数十人の患者を施術出来るのであるから、これこそ最も進歩せる理想的医術である。そうして文中明主様とあるのは無論私の事である。

なお驚くべき一事は、何ら医学の素養もなく普通教育程度の者なら、商人でも、労働者でも、農民でも、官吏、会社員でも、数日間の教修によって、この技術が修得されるのである。その結果大病院から見放された者、博士から死の宣告を受けた患者でも、一時的ではなく根本的に治るのであるから、実に二十世紀の奇蹟であるどころか、世界肇(はじま)って以来未曾有(みぞう)の大奇蹟といってよかろう。今この治病効果を医学に比ベたら、医学が一とすればこれは百といっても過言ではあるまい。ゆえにこの医術が世界中に行渡るとしたら、ここに病なき世界の実現は期して待つべきである。

ではかくのごとき素晴しい治病法が、なぜ今世紀に生まれたかというと、これを徹底的に説くには、どうしても宗教的にならざるを得ないと共に、進んで本教信者になるより仕方がないが、それは別として本著の目的は、現在のアメリカの現状を知って到底黙止出来ないので、取敢(あ)えず警告の第一歩として発表するのである。そうしてこれに関して最も重要な一事はこのような驚くべき病理の発見と、それに伴(とも)のう治病力を与えられたという理由であるが、これこそ神エホバの神意の発動によって、私をして最後の救いを行わしめんがためであって、この点深く銘記されたいのである。その証拠として彼(か)のキリストの治病奇蹟である。現在数十万に上る私の弟子が日々顕わしつつある奇蹟は、キリストと比較して勝るとも劣らない例も数多くあるので、これら多数の奇蹟中から、その一部を載せたのである。そうしてこの報告は、目下のところ一力月百数十から二百通に上っており、しかも月々増えつつあるので、本教発行の週刊栄光新聞並びに月刊雑誌地上天国に満載されているが、近来載せ切れなくなったので、嬉しい悲鳴を挙げている程である。また実例中特に癌、結核、精神病、小児麻痺の四種は、現在米国で最も困っている病気であるから六例ずつを載せ、他は三例ずつにしたが〔略〕、この例も別段顕著なものを選んだのではなく、手当り放題採り上げたものである。というのはいずれも大同小異で選択の必要がないからである。

ところで遺憾に思うのは、この著を読んで心が動き、直ぐにも浄霊を受けたい米国の人も多数出来るであろうが、今のところ不可能であるから暫く待たれたいのである。というのは我方においても出来るだけ早く、優秀な浄霊施術者を選んで出張させるべく、目下準備中であり、遅くも来年上半期中には実現の運びになる予定であるからである。しかしこの著を熟読玩味しただけでも病気の本体と医学の根本がある程度分る以上、それだけでも相当の効果があるはずである。ではこれから個々の病気について解説する事にする。

 

米国に於ける病気状況

米国駐在信者、立松文二

全土を通じて、よく設備の行届いた六四三〇の病院と、一四五万六九一二のベッドを有し(以上一九五〇年現在)、日々の新聞に、医学上の何れかの分野に於ける新学説、新療法、新薬、等々の発表、報告等を見ない日は殆ど無く、衛生思想は驚く可く普及し、食器類の熱湯消毒、病菌の媒介と見らるる蝿、蚊等の駆除、予防注射、伝染病患者の隔離等々が、莫大な予算の裏付によって、殆ど完璧に近き迄に実施せられつつある、米国に於ける病気の状態は、果して如何?

霊界の漸進的転換、火素の増量、浄化力の強化、という一連の現象は、この医学王国に如何なる形で現われているであろうか?次に簡単な一瞥を試みて見よう。

マラリヤ、十二指腸虫病、トラホーム、チフス、コレラ、天然痘、黄熟、ペスト等々、所謂集団病と称せられる病気は、確かに医学の発達に比例して、米国を始めとする文明諸国から姿を消しつつある。と同時に、文明社会に固有の「贅沢病」乃至「文明病」の患者は、アメリカにおいてすら多数存し、寧ろ年々その数を増しつつある事、彼等の自負する医学を嘲笑うが如くである。現代医学は急性の集団病を慢性の文明病と置き代えた、と言っても過言ではないようだ。

例えば癌である。現在米国には七〇万人余の癌患者が居るが、これは死亡者数、罹病者数、共に年々増加の一途を辿っている。死亡者数を見ると、一九〇〇年には一〇万人につき六四人であり、死亡率の順位として第八位に位していたのが、年毎に漸増して、一九四人年には一三六人となり、心臓病についで第二位を占めるに至った。

即ち一九〇〇年には、癌による死亡は四万一〇〇〇人であったのが、一九四人年には一九万七〇四二人、更に昨一九五一年には二一万五○○○人が癌でたおれて、アメリカ建国以来の新記録を画した。現在米国癌協会(The American Cancer Society)は、種々の癌対策に腐心している。癌の早期発見と、責任ある医師による早期治療(主としてラジウム光線、X線、摘出手術)とを、パンフレット、新聞、ラジオ、公開講演等々によって、奨励、宣伝にこれ努めている。日々の新聞を見てもアメリカ人は癌恐怖症に取りつかれているという印象を受ける。

次に結核であるが、これによる死亡率は確かに年々減少しつつある。一九〇〇年には一〇万人につき一九四人で、第一位の死亡数を示していたが、一九四人年には三〇人となって、第七位に下った。「しかし、一九五一年に於ては、それに先立つ如何なる年よりも結核患者数は多い」(聖ヨゼフ・カウンティ結核連盟、St. Joseph County Tuberculosis League)。死亡者数の減少と、罹病者数の増加という皮肉な現象は、固め療法としての医学の発達と、浄化力の強化という、二つの相矛盾する事象の相翹がもたらす当然の一結果と言えよう。医療による浄化停止は、ベッドに常住する気の毒な社会的廃人を益々製造するに役立つ許りであるようだ。

死亡率減少しつつありとは言え、一九四人年に於ける結核死亡者数は、四万三人三三名に上っている。これは一日に三一〇人、一二分毎に一人の死亡という割合であり、他の全伝染病による死亡者数の総計を上回っている。

因みに、全世界に於ける結核による死亡者数は、年平均三〇〇万人から五〇〇万人に上るというから恐しいことである。現在米国で結核患者と銘打たれている人々は、五〇万人(主として一四歳から三五歳迄)即ち、ニニ五人の成人に一人の割合である。

米国の社会にとっての大きな脅威の一つに精神病がある。精神分裂症を始めとする精神病者の数は、実に九〇〇万人という形しい数を示している。そして精神病国民協会(National Association for Mental Health)は「今年米国で生まれた子供の内一二人に一人は、その生涯の何れかの時期に、精神病院に入院せねばならぬであろう」と報告している。罹病者の多い事で、精神病に次いでいるのは、四肢の諸関節の激痛、発熱、腫脹、硬化等々の症状を現わす関節炎(apthritis)であろう。患者数は全米を通じて七〇〇万人から八〇〇万人に上り、毎年約一四万七〇〇〇人の新患者が出ている。人類史上最も古いこの病気は、又最も多く謎に包まれた病気とされている。

所謂心臓病にょる死亡者は、年々手の施しようもなく増えつつある。五〇年前の一九○○年には一〇万人につき一三七人で、死亡率の順位では第四位であったのが、一九四人年には第一位を占め、三二三人となり、更に一九五〇年には三五四・四人で、実数にして五三万五九二〇人がこの病気でたおれている。心臓病罹病者数は実に三七〇万人と言われる。

次に所謂慢性頭痛特が米国に非常に多い事も注目に値しよう。クレアランス・ウッドベリイという医師は、アメリカン・マガジン誌の五月号で曰く「私は、約一二〇〇万人のアメリカ人が、慢性の頭痛持である事を知って驚いた」”と。

典型的「贅沢病」と言われる小児麻痺は、患者数は詳かでないが、比較的文明高度なヨーロッパ諸国及び米国に最も多く見られるのみならず、主としてそれらの国々の富裕階級に多い。これ等気の毒な小児麻痺患者の為の活溌な街頭募金運動は、米国で屢々目撃される処である。

 

米国に於けるその他の罹病者数は大体次の通りである。

動脈硬化及び高血圧症が三七〇万人、喘息が三五〇万人、慢性気管支炎が一七〇万人、腎臓炎乃至腎臓病が一五五万人、脱腸が二〇〇万人、痔が同じく二〇〇万人、又少くとも九〇〇万の人々が何らかの心臓及び血管の疾患で悩んでいると言われる。

ニューヨーク医師会、医学情報部(Medical Information Burreau, New York Academy of Medicine)のイアゴウ・ゴールドストン博士(Iago Galdston, M.D.)にょれば、「アメリカに於ける慢性病問題は、口で言う事も、想像する事も出来ぬ程重大なものである」と。

かくて、患者として医療を受くる者は年々増加し、一九三一年現在では七一五万五九七六名、一九四〇年には一〇○八万七五四人名、一九五〇年現在では、実に一七〇二万三五一三名となっている。これはアメリカ全人口の一割以上である。医療を受けていない者も加えると、少くも米国全人口の六分の一に当る二五〇〇万人以上が、所謂慢性病の犠牲者であり、更に示唆に富んでいる事にはその半数以上が四五歳以下の比較的若い人々である。

米国全人口の大きな部分を占めるこれ等の人々は、労働不能乃至労働力不足の為、社会から当然受く可き報酬は得られず、又社会に対して寄与する処も殆どない。言わば、不幸な社会的徒食者の群である。

再びイアゴウ・ゴールドストン博士の言葉を借りれば、「かかる現象は、現代医学の進歩に由因するのである。前にも述べた如く、現代医学は死亡者数を大量に減らした代りに、罹病者数を大量に増やしたのである」そして、「健康と病というものの本体に関して、新なつ最も妥当な再検討が加えられない限り、医学は治療の努力を続けつつ、益々深く迷路に迷い込み、病という、病者と社会と職業にとっての重荷に追付く事は永遠に出来ないであろう」。

「アメリカよ、アメリカよ、神は汝に恵みを注ぎ給う」と歌われている、輝かしき機械文明と、キリスト教の国アメリカも亦病んでいる。増加しつつある二千万余の病者の呻吟を前に施す術なく、唯唖然と拱手するかに見ゆる現代医学が、神の大慈大悲の想念の具現である神霊医学の前に膝を屈す可き時が、いよいよ来たのではあるまいか?

(以上、昭和二十七年九月二十日)


『アメリカを救う』は、英文でもご覧いただけます。
Johrei Saves America

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