体験記「スイッチを入れたテ-プコ-ダ-のように」

明主(メシヤ)様は、毎晩午前二時になりますと必ずご就寝になりましたが、時には御論文中の口述が中途で終わることがありました。そのような場合は、『あとは明日にしよう』とおっしゃって中止されました。そして、その続きを翌日されるわけですが、前日、口述筆記させられた箇所は全然お目通しにならず、末尾の一、二行をお読みしますと、『ああわかった』とおっしゃって、すぐ後を続けてご口述になられました。こちらが変に気をきかせすぎて、かなり前の方からお読みしますと、『そんな前から読まなくても一行か二行読めばわかるよ。時間がもったいないではないか』とご注意されます。

ですから、ちょうどテープレコーダーを途中で停めておいて、スイッチを入れると、すぐまたしゃべり出すように、明主(メシヤ)様のおつむの中には、すでに表題を仰せ出された時に出来上がっていて、それをお口へ発せられるだけであって、そこには、少しもお考えになられながら口述されるようには感じられませんでした。

それ故、口述の際には「おひかり」を御入霊されながらとか、美術書をごらんになったり、また床の間の活け花をお直しになられながらというように、いかにも楽しそうにご口述になられました。

また中途で終わっている原稿の続きを、何かの都合で翌日されず、三日も一週間も後にされることもありましたが、その場合でも前記同様、末尾の一、二行お読みすれば事足りました。

(側近奉仕者)