「工事作業中の御守護」

御蔭話 長崎県T.K. (昭和二四年八月二〇日)

昭和二四年五月六日、私が佐世保区内のN町とK町との間を通るトンネル工事の責任者として工事中の出来事であります。

午前一一時ごろ突然現場に騒がしい人声、ハッとして駈けつけてみると工夫Oが枠入作業中、頭上の土砂が崩れて右腕をスッポリ埋めてしまっている。その上に落ちて来た岩は直径一尺五寸くらいもあって、腕は押しつけられたまま、どうしても抜けません。重さはかかり、苦しみは増すばかり、皆は鶴嘴で掘り出そうと試みるが一向にききめはない、腕を切るか腐らすか、生命にもかかわるかも知れない。その時、ハッと電光のように頭に閃いたのは光明如来様の御光のことなのであります。そうだお縋りしてお願いさして頂きましょうと合掌して光明如来様にお願いし、今は人力を以て如何とも出来ない大岩に向って敢然と掌を翳し地軸にまでも通れとお光を透させて頂きました。

約二〇分間くらいも御浄霊させて頂いた頃でしょう。さしもビクともしなかった腕がヒョイと抜けました。本人は最早夢中ですが、私はこれをみて驚きと喜びで胸一ばいになりました。念被観音力とは全くこの事でございましょう。しかも引抜いた腕には怪我一つありません。ただ圧迫されていたため手頸の所から「く」の字なりに曲って冷くなっています。皆の者はそれ医者を呼べ、連れて行けのと騒ぎますが、私は「いや大丈夫、わしに任せろ」と現場から三〇〇米くらい離れた事務所に連れて行き約一時間ばかり御浄霊させて頂きました。冷えきった腕は次第に温かくなり、曲っていたのが伸び手頸が自由に動くようになったのです。そして痛みもなく、普通の状態にかえりました。午後は平常と同様に仕事をやり翌日も何ともありません。

お光の事を知らない人はただ運がよかった、奇蹟的に助かった、というだけで無関心のうちに救われる機会を自ら逃がしているようであります。私の如きものですら光明如来様の偽御用にお使い頂けるかと思う時、天が下何事が起ろうとも光明如来様におすがりしておれば大丈夫という確信が出来、今にして初めて自分は光明如来様の大船に乗せて頂いていたと知り今までの私の報恩感謝の足らなかった事を恥ずかしく思うと共に、この地上天国建設運動に馳せ参じさせて頂かねば申訳ないと深く決意致しました。