「震禍を免る」

福井県今立郡Y.K

私は昭和二十二年五月二十三日に教修を受け、カリエスを治して頂いた者ですが、忘れも致しませぬ昭和二十三年六月二十八日、福井地方大震災の時、丁度福 井市片町の国際劇場で映画観覧中災害に遇い建物の下敷となり観客はほとんど圧死又は焼死したのですが(新聞の報道によりますと観客約千名中生存者十五、六 名の由)その中で本当に九死に一生を得させて頂きましたので、拙い筆をも顧りみず、ここに有難い御守護を頂きました体験記をかかせて頂きます。

私と友達とは二人とも一番後の椅子に坐ってみておりました。五分間の休憩中の事です「アッ! 地震」と叫んで思わず二、三歩余り歩むと同時に壁や建物が 「ドッ」と倒れかけ私より前方の人が二、三人倒れると次ぎ次ぎと倒れました。私はその時思わず「大先生様」と手を合わせつつ五分間位じっとしておりまし た。すると後の男の人が私の足を引張って「アッ あなたのすぐ前に穴がある、早くそこから出なさい」と呼んでおりますので思わず前の方を見ますと小さい穴 があるではありませんか。私は夢中ですぐそこから板や瓦を上の方へ持ちあげてやっと外へ出る事が出来、ホッとして体をみますとほんの少し手にかすりきずを 受けただけでしたので、その時は思わず「大先生様御守護有難うございます」と心から御礼の言葉を申上ました。

あたりを見廻しますと建物はすっかり潰れておりますので、きっと私の家は潰れているに違いないとあきらめながら吾家の方へ歩いていますと鯖江から福井の 方へ帰る人が「下河端なら駄目だな」と言われました時には、本当に眼の前が真暗に成りどこをどうして歩いたか、今なお分らない位でございました。

しかし吾家についてみますと家中皆御守護を頂いて無事でいましたし吾家も立っているではありませんか、私はその時思わず水落の山田先生のところの御写真 の方に向って「大先生様本当に御守護有難うございました」と涙してお礼申させて頂きました。当時の事を思います度に御守護の有難さを心より感謝致し、今後 共益々信者の一人としてお仕えさせて頂きたいと存じている次第でございます。