「盗難品が出た御利益」

栃木県足利市A.H

昭和二十三年五月二十四日、雨、毛染色会社工場において夜半突然、けたたましく犬が吠えるので家人が眼を醒ましましたが、なんの事もなく何だか気掛りで したが又床の中に入りました。明方工場に泥棒が入った事が解りさては昨夜あの時入られたのだなと一同残念がり工場を調べますと工場は取乱され、絹糸数貫盗 難に遇い、付近工場より道路上へかなり糸を引いておりました。最早全部駄目とは思いましたが私は早速家にお祭りしてある光明如来様にこの災害よりお救い下 さるようお願い致しました。ところが数時間後警察より電話がありまして泥棒の報らせを受けました。当地で今迄に随分綿糸の盗難はありましたがまだかつて一度も出た事がありませんでした。早速警察に行き係官に合いますと絹糸は十七貫もあり全部私の手に帰ってきました。

その上泥棒に遇いまして話をしたところ、泥棒は半島人で本人が言うには、今迄に数回外の家に入りましたが、あなたの家は何だか入るのに恐ろしかった。そしてもし家の人が出て来たら殺してしまおうと短刀を持っていたと言われ驚きました。何とあの時気づいて出て行けば誰か殺されたか怪我は免れなかったのだと 重ね重ねの御恵みにただただ有難く早速本部玉川へ御礼に伺いました。