19.婦人病

婦人病にも種々あるが、概略左に説いてみよう。

最も多いのは、子宮に関する病気である。医学では子宮内膜炎又は実質炎、周囲炎等の名称を付しているが、炎のつく限り有熱病であるから、浄化作用が起っているので、放任しておけば必ず治癒するのである。然るに子宮抓爬などを行うが、之等は何の効果もない。何となれば、元来子宮内は不断に分泌物又は白帯下が下りるから、抓爬するや、忽ちに旧の通りに汚れるからである。

次に、消渇(しょうかち)であるが、之は淋毒性と今一つは、異に説いた熱尿の為などもあるが淋毒に因る尿道疾患は、淋病の治療法と同じく、尿を頻繁にして、尿道を洗滌するのが一番いいのである。熱尿は、曩に説いた通りであるから略すことにする。

次に、子宮筋腫も抄くない病気で、その症状も種々あるが、私の経験によれば、誤診が非常に多いのである。

真の子宮筋腫は、子宮を牽引している筋が腫脹するので、大きさは大、中、小種々あり、多くは硬性で、無痛と軽痛とあり、無痛に於ては、永い間気の付かない患者すらあるのである。又、誤診もあって、鼠蹊腺部、腎盂炎、腹膜の下部等に凝結する毒素又は月経の残存血液の凝結等を子宮筋腫と誤る事が少くないのである。之等を治療する結果、毒素の方は白帯下となって排泄せられ、残存月経凝結の方は月経となって排泄せられるので、速かに治癒するのである。然し乍ら、真の子宮筋腫と難も、本療法によれば、必ず治癒するのである。

次に、卵巣膿腫又は卵巣水踵も相当多い病気で、之も割合苦痛はないのである。そうして重症になると非常に膨大し、臨月以上の大きさになるものさえあるが、苦痛がないから右の如き腹を抱えて働いている婦人もよくあるのである。そうして腹部の膨大は、腹膜炎とよく似ているが、異なる点は、腹膜炎は胸部へかけて、膨満が斜状型になっているが、卵巣膿腫は、胸部は常態にして、腹部のみが際立って膨満しているからよく判るのである。そうして此病気に対し、手術は割合奏効する事が多いのである。又子宮筋腫も、手術の奏効する事も多いのである。

次に、婦人病に対し、医家は診察の結果、よく喇叭管が腫れてるというが、之は誤診であると思うのである。それは医家の診断は、内部からみて腫れてるというが実は外部即ち下腹部に毒素溜結し、それが外方から圧迫するので、内部からはそうみゆるのであろう。

次に婦人によくある病気に月経痛がある。之は月経毎に多少の痛みを感ずるのであるがそれは囃叺管が狭小又は閉塞しているのであって、それを血液が通過しまうとするその為の痛みである。そうして原因は、前述の如き、外部からの溜結毒素の圧迫であるから、その毒素を溶解するに於て全治するのである。私が治療の頃、例外なく治癒したのである。

次に、成年期になっても無月経の女性がよくあるが、之等は劇叺管閉塞が強度である為であるから、 その原因を除けば必ず治癒するのである。

又不妊症も右と同一の原因であって、医学で唱うる如く、喇叭管閉塞の為である。故に昔から、下腹が固い女性は不妊であるとか、又あの婦人は下腹が固くなったから、もう子が出来ないなどと謂われるが、之は真実である。

次に、子宮後屈及び前屈症があるが、之は子宮の前部に毒結があれば、その圧迫によって後屈となり、後部のそれは前屈となるのである。之は勿論不妊の原因となるが、本療法によれば短時日に快癒するの である。

次に、妊娠中の病気として妊娠腎も相当多いのである。そうして強度の浮腫の為医家は人工流産を奨めるが、此妊娠腎発生は、多くは七、八ヶ月以後であるから、寧ろ流産でなく死産であるといってもいいので、実に国家の損失と本人及び家族の精神的苦痛は大なるものがある。そうして此原因は、平常から背面腎臓部に毒素溜結があり、後部だけなら其圧迫も軽度で気が付かないが、一度妊娠するや、腹部の方からも強圧する事になるので、腎臓は、前後からの圧迫を受けるから強度の萎縮腎となり、それが為、余剰尿が浮腫となるのである。 然し乍ら、本治療によれば、此症状は特に治癒し易く、多くは二、三回の治療によって快癒するので、 決して人工流産等の必要がなく、順調に出産するから、大いに喜ばれると共に、国家的見地からも、大なる貢献というべきであろう。

次に、妊娠中の悪阻も頗る多い症状で、甚しきは幅吐烈しく、一ヶ月以上も碌々食を採る能わず、人工流産のやむなきに至るものもあるが、此原因は胃の外部にある毒素溜結が腹部膨脹によって圧迫される為、浄化作用が発(おこ)って溶解し排泄される。それが幅吐であるから右の毒素を溶解するに於て容易に治癒するのである。

次に、子宮外妊娠もよくある症状で、且つ非常に恐れられているが、之は医学に於ては手術以外方法がないとされている。然し乍ら本療法によれば、頼る容易に治癒するのである。又此症状も誤診が会々(たまたま)あるようであるから、注意すべきである。そうして此症状は、妊娠二、三ケ月項、下腹部の激痛と出血とが著るしい特徴である。

次に、白帯下の多量にある女性があるが、医学に於ては之を不可として種々の療法を行うが、何れも効果はないのである。又子宮が悪いからというが、之は子宮とは全然関係がないので、単に深部から溶解せる毒素が流下し、一旦子宮内に滞溜するのであるから、其際に於ける子宮抓爬などは意味をなさないのである。私の研究によれば、此原因は化膿性腹膜炎が、浄化作用によって溶解され、その膿が排泄されるのである以上、白帯下は非常に良いのである。

其他バルトリン氏腺腫脹、膣炎、掻痒症、子宮脱出、不感症等あるが、之は省く事とする。