御蔭話 佐賀県I.K. (昭和二四年四月三〇日)
三月三〇日朝家内が今日は麦の手入れをしたらと申しましたが、丁度この日は近所の人の新田開拓の手伝いがあり、皆行くので自分も行ってやらねぱと思い出掛けました。作業中大きな岩が出て来ましたので爆破する事になり煙草休みの間に爆破してくれと頼まれました。時刻は午後四時頃だったと思います。私は導火線に自分の煙草の火で点火しましたが火のつきが悪く点火しなかった様に思いましたので付近に脱いであった上着のポケットからライターをとって来て蹲踞(そんきょ)しながら再び点火しょうとした瞬間、轟然と爆発したのです。先に点火した煙草の火が完全に点火しておったのでした。
爆風に顔面強打された私は右の目が見えません。「相当やられたな」と思い手拭でそっと顔を拭いてみますと少し血がついている位で大した事もなさそうです。傷は浅いと先ず一安心を致しましたが、少々右手が痛みますので見てみますと拇指と食指との間がひどく裂けているのです。これはライターが爆風のため吹き飛ばされる際拇指と食指の股を引裂いたのです。後から聞いたのですがライターは一間程離れた所に粉微塵に砕け散って落ちておったそうです。
直ちに御守護の御礼を申し上げ御浄霊させて頂きましたら血はピッタリ止まりました。爆破した岩は如何になっているかとみましたら全く奇蹟です。岩は縦に四つに割れ私のいた側面の二塊はそのまま立っており、反対側の二塊は四、五尺向うへ吹飛んでいるではありませんか。若しこれが反対になったら私はこの世の人間ではなかった筈です。この奇蹟、御守護によるこの再生の命、私は生きているのです。生かして頂いたのです。有難くて有難くてなりませんでした。
その夜は近くの会員の方が親切に見舞って下され御浄霊頂きました。熱が高く一睡も出来ず夜が明けましたが、疲れたため家人が仕事に出た後戸を締めて寝ておりましたが、余り苦しくなり出しましたので光明如来様の御前に額突きお願いして御浄霊を自分でさして頂きましたら大変楽になり、再び床に伏していますとM支部のT先生の奥様の声が問えるではありませんか、夢かと思いますと矢張り本当なのです。全く蘇った様に嬉しゆうございました。遠い所をわざわざ、ああこれも光明如来様のお蔭です。奥様は一里以上もある山路を登って来て下さったのです。早速浄霊頂きますと急に薬になって参りました。奥様が帰られた後は気分よく初めて眠ることが出来ました。その翌日は集会所まで行ける様に元気になり、ただ今では右の目も視力が次第に恢復して参りました。家内も心から喜んで教修を頂く事になりました。去る二月末火災が起きようとした際も御守護により事なきを得、今また重ねて命を頂きました。度重なるこの感激に報い奉る心これを忘れてはならないとしみじみお誓い申し上げるのでございます。私如き数ならぬ身に賜わる事の出来得たお光により出来得る限り世のため人のために働かせて頂きたいと心の底から朝な夕な念ずる私とならせて頂く事が出来ました。誠に有難うございました。