御教え『すべてこの世は毒』

「東京日々新聞」昭和28年2月24日  法話 Ⅰ

(前略)

大体人間は生れながらにして例外なく先天性毒素と、後天性毒素を持っている。先天性毒素は親からの遺伝だが、後天性毒素は生まれてから体内に入れた薬毒といえる。薬毒というと不思議に思う人があるかも知れないが、つまり薬は病気を治すもの。健康を補うものとの観念が常識になっているからだ。ところが、もし薬で病気が治るとしたら、だんだん病気が減らなくてはならないのに、逆に益々(ますます)増えている現状だ。薬の作用は、薬毒によって、病気症状が減るから治るように見えるが、ほんとうは治るのではない。

何故(なぜ)薬を毒物かというと人間が口へ入れるものは、造物主が人間を造ると同時に、生を営(いとな)むために用意されたのが食物で、食物にも、人間が食べられるものと、食べられないものとが、ちゃんと分けられていて、人間の体の機能は、食物として定められた物の外の異物は、処理出来ないようになっている。

薬物は異物だから、ふくまれている栄養分だけは吸収されるが、他のものは体内に残る。この残ったものが薬毒で、これが各局部にたまって時が経つにしたがって固まってしまう。