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15.『主なる病気(一) 脳疾患』

これから主なる病気についてかいてみるが、近頃よく云われるのは、若い者は肺病、年取った者は脳溢血と相場が決っているようだが、全くその通りであって、結核の方はかいたから、今度は脳溢血について詳しくかいてみよう。そもそもこの病気は男女共壮年から老年にかけてのもので、人も知るごとく発病するや頭脳朦朧(もうろう)、呂律(ろれつ)が廻らず、重いのになると目まで冒されるが、この病気は半身不随に決っているのである。これにも非常に重い軽いがあって、重いのになると手や指の節々まで硬直して自由が利かなくなり、足も歩けず、足首がブランとして着けなくなる。そうしてまずこの病気の原因であるが、これは右か左の淋巴(リンパ)腺部に相当若い頃から固結(濁血の固まり)が出来、ある程度に達するや、突如として浄化発生し、これが溶けて頭脳に向って溢血する。溢血するやたちまち反対側の方へ流下し、手足の関節部に固るので、その速さは数秒くらいであるから、アッという間もなく、実に恐ろしい病気である。その際濁血は脳内にも残り、それが脳内障碍を起すのである。 続きを読む

16.『主なる病気(二) 眼、耳、鼻、口』

眼病もはなはだ多いものであるが、大抵の眼病は放っておいても治るものを、薬を入れるから治らなくなるのである。というのは眼の薬程毒素を固めるものはないからで、盲目などもほとんどそうであって、一生涯不治とされるのも薬のためで、全く恐るべきものである。特に盲目であるが、この原因は最初眼球の裏面に血膿が集溜したのが底翳(そこひ)であり、外側のそれが白内障または角膜炎であるが、これも自然に委せれば僅かずつ眼脂(めやに)や涙が出て治るのである。 続きを読む

17.『薬毒(一)』

ここで薬毒について、一層詳しく説いてみるが、さきにかいたごとく薬はことごとく毒であって、毒で浄化を停止する。それが種々の病原となる事は大体分ったであろうが、薬にも漢薬と洋薬との二種あり、どちらも特質があるから、一応は知っておく必要がある。 続きを読む

18.『薬毒(二)』

ここで薬毒の症状についてかいてみるが、彼(か)の天然痘における掻痒苦(そうようく)であるが、これは掻痒苦中の王者である。この病気の原因は薬毒の遺伝であって、これが浄化によって皮膚から排泄されるのであるが、治ってからも醜い痘痕(あばた)が残るので人は嫌うのである。ところが種痘によってそれを免れるが、これで然毒が消えたのではない。ただ排除を止めたまでであるから、残った毒は種々の病原となる。その著しいのが彼の疥癬(かいせん)である。これに罹るや掻痒苦はなはだしく、症状も天然痘といささかも変らない。つまり真の天然痘が急性であり、疥癬は慢性であると思えばいいのである。また蕁麻疹(じんましん)であるがこれももちろん薬毒であって、カルシウムの中毒が断然多く、その際考えれば直にそれと分るが、不思議にも分らないとみえて、腸が原因などという。察するに魚肉中毒の場合、蕁麻疹的症状が出るので、これと混同したのであろうからナンセンスである。そうして魚肉の方は放っておいても二、三日で治るが、カルシウムの方は数ケ月あるいは数年も掛かる人さえある。これについてよくカルシウムには骨の成分があるから、育つ盛りの幼児などによいとしているが実にナンセンスである。というのはカルシウムのない時代、菜っ葉や米だけ食って漁夫や農民など、骨太で立派な体格であるのはどういう訳か訊きたいものである。 続きを読む

19.『薬毒に就いて』

前項までに詳説した薬毒のいかなるものであるかは、大体分ったであろうが、ここに最も明らかな例をかいてみると、もし薬なるものが本当に病を治す力があるとしたら、先祖代々人間体内に入れた薬毒は、驚くべき量に上っているはずであるから、現代の人間は非常に健康になっていて、病人など一人も無い世界になっていなければならないにかかわらず、事実はその反対であるとしたら、ここに疑問が起らなければならないが、全然気付かない迷盲である。何よりも昔から病は薬で治るものとの信念になり切っており、それが迷信となってしまったのである。それがため医学の進歩を嗤(わら)うがごとく病人は増えるばかりで、医師が、看護婦が足りない、病院は満員、ベッドの不足、健康保険、療養所、社会衛生等々、何だかんだの病気に対する対策の繁(はん)なる衆知の通りで、これだけ見れば医学の進歩とは科学的に、微に入り細に渉(わた)っての唯物的進歩であるから、治す進歩であって治る進歩でない。学理上治るべき進歩であって、実際上治るべき進歩ではない。こう見てくると現代人の生命は学理の支配下にある以上、もし学理が誤っているとしたら、学理の犠牲になる訳である。その根本は現在の学理は、人間生命まで解決出来る程に進歩したと信じているからである。実に驚くべき学理の信奉者である。 続きを読む