御教え『栄養食に就いて』

「岡田先生療病術講義録 上巻(四)より」昭和11(1936)年7月

(前略)

飲酒

之も飲まぬ方が良いのであります。酒は百薬の長などと言いますが、場合によっては五勺か一合位はいいが、大酒は悪いに決っております。之は事実ですから、説明の必要はないと思います。又煙草は吹かすのは可いが喫(の)み込むのはわるい。吹かすのは鼻から香(かおり)を吸って脳を刺戟するから頭をよくする。考え事をする時など実に効果があります。

世間頭の良い人で煙草を吹かす人が多いのは事実でありますから、頭の良くなりたい人は、煙草を吹かすと宜(よろ)しいのであります。

運動は、如何なる病気でも、苦痛でない限りするほど良いのであります。空気は、無論、浄い空気を吸った方がよいのですが、今日の世間でいう程、重大な影響はないのであります。埃(ほこり)を吸っても害は僅かで、何より肝腎なのは霊気であります。

睡眠に就ては、近来結核などは充分に睡眠を採らなくてはならないとされてありますが、吾々が実際研究してみますと、睡眠不足は頭脳には確かに影響があるが、結核には影響がないようであります。然し、精神病者には大関係があります。精神病の最初は睡眠不可能からであり、精神病治癒の初めは睡眠可能からであるにみても明かであります。

然し、睡眠は習慣で或程度どうにもなる。私は曩(さき)に八時間位眠らなければどうにもならなかったのですが、近年それが不可能になった為、今は五時間位の睡眠であります。処がそれが慣れるにつれて何ともないので、睡眠不足などというものは一時はあるが、世人が思う程の苦痛は無く、又それ程害がない事が判ります。彼の米国の大発明家故エジソン氏は、研究室に入ると、一週間位寝ずに打通(ぶっとう)したそうであります。処がエジソンの助手は、自分達にはとても真似が出来ないと思っていると、誰でも出来るとエジソンが言うのでやってみた所、最初は苦痛であったが、段々慣れるに従って出来るようになったという話があります。

又よく疲労をやかましく言いますが、之も吾々の説は異うのであります。

吾々の方では、運動に因(よ)る疲労は非常にいい。讐えていえば草など陽にあたると一時はだれるが、一晩越すととても威勢が良くなる。それは疲労したように見えるのは疲労ではなくて、一晩寝ると元気が恢復する―― それと同じであります。ですからどしどし疲労した方が健康が増すのであります。又、樹木にしても大きな風が吹いて木を揺ぶるので、根が張るのであります。